うつろいゆく季節 

明らかに空気が入れ替わり、朝の気配は秋の雰囲気だった。タイミングよく早めに起床していたので、軽い腰を上げお手軽に出かけられる佐野・三床山へ出かけた。草の生い茂った登山口付近では夜露でズボンもビショビショになったが、それも束の間のことでひんやりした冷気の中の登山は久し振りに気持ちの良いものだった。樹林が切れ始めて、視界が利くようになるとすかさず富士山・浅間山が見えて来た。そして、360°の視界が得られる一床山に登ると、透明度の良い空の下、北側には奥日光らの山々が一望できた。

床山で展望を楽しんでいると何やらザワザワと眼下の森の方から聞こえて来た。誰か木々を払いながら登っている人がいるのだろうか、と思ったが、そういう藪っぽいところはこの辺りの稜線にはないので、もしや何か動物か、とそろそろとピークから下り森の中に降りて行った。相変わらずザワザワと音がしていて、腰をかがめ様子を窺うとブハッという鼻息のような音まで聞こえて来た。これは熊か猪かとさらに慎重に歩を進めて行くと、小太りの薄茶色の猪がこちらに気付き一目散に藪の中に駆け降りて行く姿が見られた。と同時に数頭の猪と思われる動物が一斉に駆け降りて行った。そのわずか数秒の出来事の後、森はそれまでのザワザワした音が消え、静寂に包まれた。展望の得られない二床山を過ぎると、開けた岩峰から南側の展望が得られる。スカイツリーは認められなかったが、三床山と高松のピークが手入れの好き届いた美しいゴルフ場を挟むように見え、透明感あふれる景色だった。

下山して帰る途中から振り返ると、高松と三床山の姿が秋の空に美しく眺められた。季節が変わって行く。